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青空文庫朗読 昨日・今日・明日 織田作之助【ゆっくり音声】アクセント無し
青空文庫の棒読みちゃん朗読動画。
青空文庫テキストを自動変換して、そのまま読ませています。
原文を投稿用に改変し、読めない漢字・旧仮名・記号を変換・読み飛ばししてます。
重要単語の誤変換・読み間違い・違和感等、御了承下さい。
タイトル横に●は元、旧仮名遣いです。字幕■は表示出来なかった漢字・記号です。
指摘・コメント・ソフト・作成者・青空文庫の方、ありがとうございました。
同じ様な動画の作り方(sm27511154)
青空文庫テキストを棒読みちゃんで読み上げる(sm24415644)
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青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/index.html)
青空文庫朗読マイリスト(mylist/44256589)
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青空文庫朗読 東京宝塚劇場の再開に憶う 小林一三【ゆっくり音声】アクセント無し
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青空文庫朗読マイリスト(mylist/44256589)
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【岡本綺堂 傑作選】お住の霊【ゆっくり怪談】
これは小生わたくしの父が、眼前まのあたりに見届けたとは申し兼かねるが、直接にその本人から聞取った一種の怪談で今はむかし文久の頃の事。その思召おぼしめしで御覧を願う。
その頃、麹町霞ヶ関に江原桂助という旗下(これは漢学に達して、後には御目附に出身した人)が住んでいた。
その妹いもごは五年以前、飯田町に邸やしきを構えている同じ旗下で何某隼人(この家は今も残っているから、姓だけは憚る)という人の許もとへ縁付き、児まで儲けて睦じく暮らしていたが、ある日だしぬけに実家さとへ尋ねて来て、どうか離縁を申し込んでくれと云う。
兄も驚いて、これが昨日今日の仲でも無し、縁でこそあれ五年越しも睦じく連添っていたものを、今更突然に出るの去るのと云うは一向その意を得ぬ事、一体どうした情由わけだと、最初はじめは物柔かに尋ねたが、妹は容易にその仔細を明かさずただ一刻も彼あの邸には居られませぬと云う。
けれども小児こどもでは無し、ただ嫌だ、一刻も居られぬとばかりでは事が済まぬ、その仔細を云え、情由を話せと厳しく詰問すると、妹は今は據よんどころなく、顔色変えて語り出したのが、即ち次の怪談で……
【岡本綺堂 傑作選】雷見舞~三浦老人昔話より【ゆっくり怪談】
幽玄なる名作:岡本綺堂作~雷見舞(らいみまい)
雷嫌いの花魁と、殿からの命を受け、そのお見舞いに行く雷嫌いの若侍の悲劇。
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/okamotokido-raimimai
【岡本綺堂 傑作選】経帷子の秘密(きょうかたびらのひみつ)【ゆっくり怪談】
「経帷子の老婆」に呪われた酒屋「井戸屋」に嫁入りした質屋の娘、お妻。井戸屋では代々、跡取りが生まれてもみんな死んでしまうため、同じ血筋が二代と続かず、縁のない他人が店を相続していた。お妻は呪いを解くために……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/okamotokido-kyoukatabiranohimitsu
【小酒井不木 傑作選】痴人の復讐(ちじんのふくしゅう)
異常な怪奇と戦慄とを求めるために組織された「殺人倶楽部」の例会で、今夕は主として、「殺人方法」が話題となった。会員は男子十三人。名は「殺人倶楽部」でも、殺人を実行するのではなくて、殺人に関する自分の経験(もしあれば)を話したり、センセーショナルな殺人事件に関する意見を交換したりするのが、この倶楽部の主なる目的である。
★ソース: http://urban-legend.tsuvasa.com/chijinno-fukusyu
【小酒井不木研究サイト「奈落の井戸」】より
”のろま、ぐず、といつも主任に罵られてばかりいて、仕返しの機会を窺っていた超粘着質のC眼科医は、緑内障で入院してきた高慢な女優にけなされたのをきっかけに、二人に復讐する事にした……という小説が、小酒井不木の「痴人の復讐」だ。
彼は自分の“のろま”なキャラクタをいいことに、わざと診断を誤り、わざといいかげんな手当をする。そして、彼女の目を検査する時に点眼する薬品がアトロピンなのだ。勿論“痴人”の彼が普通に検査などするわけがない。眼球の内圧が昂進する病気である緑内障の彼女の目に、わざと内圧を昂進させる作用をもつアトロピンを点眼するのだ。その為女優の緑内障は悪化し、眼球摘出という羽目に陥るのだが、このような薬品の誤用が現実に大問題であるのは、最初に引用した文章の通り。大わらわで手当をする周りの医師や看護婦の様子が想像出来るだろう。”
[出典:http://mole-uni.txt-nifty.com/naraku/2009/01/post-8e7c.html]
【小酒井不木 傑作選】死体蝋燭(したいろうそく)
蒸し暑い暴風雨(あらし)の夜の、小坊主の法信を前にした和尚の衝撃告白。
手燭の蝋燭は、先の小坊主を殺し、肉をはぎ、その脂肪から作ったものという。
その死体蝋燭が、今宵で尽きる……
★ソース: http://urban-legend.tsuvasa.com/shitaicandle-fuboku
【東北きりたん朗読】夢野久作 ドグラ・マグラ 一頁目
きりたんに「お兄様」と呼ばれたかったので初投稿です。例の要素はありません(迫真)
合計音声再生時間を計算してみたところ22時間程度になったので、88本くらいの長丁場になりそうです。
クソザコ一般会員特有の投稿上限50に余裕で引っかかりますねえ。困った。
つべ版 → https://youtu.be/YprNwfCLl1g (内容は同一です)
男声の朗読を聴きながら眠る「蜘蛛の糸」芥川龍之介
カンダタさん優遇されすぎな
いつもご視聴いただきありがとうございます!岡野です( ´ ▽ ` )
応援コメントなどにいつも励まされています。
久しぶりに朗読をしてみました。
蜘蛛の糸、これも皆さん誰もが知っている短編小説なのではないでしょうか。
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男声の朗読を聴きながら眠る「黄金風景」太宰治
この主人公の気持ち、僕は割と分かります。
いつもご視聴いただきありがとうございます!岡野です( ´ ▽ ` )
応援コメントなどにいつも励まされています。
皆さんは、幼い頃の黒歴史ってあるでしょうか?
きっと誰にでもありますよね。
僕なんてありすぎて数えられないかもしれない。
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朗読テスト 飴だま
青空文庫より、新美南吉さんの飴だまを朗読させていただきました。<br>
短時間録音故低クォリティかつ誤読とリップノイズが入っておりますことご了承お願いします。<br>
お話の内容はとてもほっこりしました。
【小酒井不木 傑作選】恋愛曲線【ゆっくり怪談】
江戸川乱歩の才能を早くから見出した探偵小説の先駆けであり、自身の医者としての知識経験、医学的見地から多くの作品を手がけている。
『恋愛曲線』は1926(大正15年)1月号の新青年に発表され、大きな反響を呼んだ掌編怪奇探偵小説の傑作である。
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/fuboku-renaikyokusen
【夢野久作 傑作選】悪魔祈祷書【ゆっくり怪談】
古書店で雨宿りする助教授が店主から「外道祈祷書」の話を聞かされる。価値を知らぬ学生が持ち込んだそれは世界に一冊しかない稀覯本……
「
われ聖徒となりて父の業を継ぎ、神学を学ぶ中(うち)に、聖書の内容に疑(うたがい)を抱き、医薬化学の研究に転向してより、宇宙万有は物質の集団浮動に過ぎず。
人間の精神なるものも亦、諸原素の化学作用に外ならざるを知り、従って宗教、もしくは信仰なるものが、その出発点よりして甚だしく卑怯なる智者の、愚者に対する瞞着、詐欺取財手段なるを認め、地上に於て最真実なるものは唯一つ、血も涙も、良心も、信仰もなき科学の精神を精神とする所謂、悪魔精神なる事を信じて疑わざるに到れり。
わが生まれいでし心は親兄弟、もしくは羅馬(ローマ)法皇が自分のために都合よく作り出せる所謂『神の心』には非(あら)ず。
生前の神罰、死後の地獄また在ることなし。何をか恐れ、何をか憚(はばか)らんや。
歴代の羅馬法皇、その他の覇者は皆この悪魔道の礼讃実行者なり。
万人の翹望(ぎょうぼう)する上流階級の特権なるものは皆この悪魔道に関する特権に外ならず。
人類の日常祈るところの核心(もの)は皆、この外道精神の満足に他ならず。強者は聖書を以て弱者を瞞着し、科学の教うるところの悪魔の力を恣(ほしいまま)にして恥じざらむとす。
全世界の人類よ。皆、虚偽の聖書を棄てて、この真実の外道祈祷書を抱け。われは悪魔道のキリストなり。弱き者。貧しき者。悲しむ者は皆吾に従え」
といったような熱烈な調子で、人類全般に、あらゆる悪事をすすめる文句がノベタラに書いて御座います。私(あっし)はそれを読んで行くうちに、自分の首を絞(しめ)られるような気持になってしまいましたよ。西洋(あちら)には血も涙もない悪党が多い。生肝(いきぎも)取りだの死人(しびと)使い、奴隷売買、人殺し請負いナンテものは西洋人でなくちゃ出来ない仕事だと聞いておりましたがマッタクその通りだと思いましたナ。
その耶蘇教(やそきょう)の僧侶(ぼう)さんは多分、精神異状者か何かだったのでしょう。
そんなつもりで、世界中を悪党だらけにするつもりで、一生懸命に書いたらしく、この世界が「悪」ばっかりで固まっている世界だ……神様なんてものは唯、悪魔の手伝いに出て来た位のもんだっていう事を、出来るだけ念入りに説明しているんです……
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/akuma-kitousyo
【小酒井不木 傑作選】国際射的大競技
昨年オランダに開かれたオリンピック大会で、わが日本選手が三段とびの第一等に入選したとき、私
たち内地の日本人がどんなに喜んだかは、おそらくまだ皆さんの記憶にあらたなるところであると思います。
あの新聞記事を読んだせつな、思わずも私の目には熱い涙がたまりました。すべての競技がそうでありますけれど、なかんずく国際競技ほど人の血をわかし肉をおどらすものはありません。
今からおよそ五十余年の昔、普仏戦争の起こるすこし前、フランス陸軍省の主催でパリーの郊外に射的大会が開催されました。
当時フランスには世界各国から軍事研究者が留学にきていて、わが日本からも十人余りの士官が派遣
され、それらの人々が射的大会に招待されたのでありますから、いわば国際射的大会となったわけです。
当時日本人は、欧州人から見れば、まったく眼中になかったのであります。日本という国さえも認
められてはいないくらいでした。そうして、日本人そのものはといえば、欧州人よりも体格は劣るし、有色ではあるし、言語も不自由であるから、自然軽蔑されたのも無理はありません。
けれども日本人には、祖先伝来の日本精神があります。いかなる困難とも戦って、あくまで目的に進むという尊い精神があります。その精神がことごとにあらわれますから、当時の滞仏士官も、さほどの屈辱を受けずにすみました。
その証拠には、射的大会へ招待されたのでもわかります……
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/fuboku-kokusaishateki
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(1)~紅色ダイヤ
本書に収めた六編の探偵小説は、雑誌『子供の科学』に連載されたもので、尋常五六年生から中学二三年生までくらいの少年諸君の読み物として書いたのであります。
現代は科学の世の中でありまして、科学知識がなくては、人は一日もたのしく暮らすことができません。しかし、科学知識を得るには、何よりもまず科学の面白さを知らねばならぬのでありまして、その科学の面白さを知ってもらうために、私はこの小説を書いたのであります。
次に科学知識なるものは、書物を読むと同時に、よく「考える」ことによって余計に得られるものであります。ですから、ドイツの諺ことわざにも、「読むことによって人は多くを得るが、考えることによって人はより多くを得る」とあります。
しかるに、探偵小説は、読む小説であると同時に読んで考える小説であります。それゆえ、私は私の小説を読まれる少年諸君に、ものごとを考える習慣をつけてもらいたいと思って書いたのであります。
少年科学探偵、塚原俊夫(つかはらとしお)君の出る物語は、これでおしまいではありません。私は、今後追々発表してゆくつもりですから、皆さん、どうかいつまでも愛読してください。
終わりに、本書の出版に関して、少なからぬ尽力をしてくださった神田書房主と友人深野滋君、および、雑誌に発表した当時から、ずっと挿画を書いて下さって、本書にも美しい筆をふるってくださった森田ひさし画伯に、深甚の謝意を表します。
大正15年12月(『少年科学探偵』文苑閣、1926年12月、所収)
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutantei-beniirodaiya
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(2)~暗夜の格闘
紅色ダイヤ事件の犯人は、意外にも塚原俊夫君の叔父さんでしたから、悪漢の捕縛を希望しておられた読者諸君は、あるいは失望されたかもしれませんが、これから私のお話しするのは、先年来、東京市内の各所を荒らしまわった貴金属盗賊団を俊夫君の探偵力によって見事に一網打尽にした事件です。
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutantei-anyanokakutou
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(3)~髭の謎
博士の死
それは寒い寒い一月十七日の朝のことです。四五日前に、近年にない大雪が降ってから、毎日曇り空が続き、今日もまた、ちらちら白いものが降っております。
塚原俊夫君と私とは、朝飯をすましてから、事務室兼実験室で、暖炉を囲んで色々の話をしておりました。と、十時頃、入口のドアを叩く音がしましたので、私が開けてみると、二十歳ばかりの美しいお嬢さんが、腫れあがった瞼をして心配そうな様子で立っておりました。
「塚原俊夫さんはお見えになりますか?」
とお嬢さんは小さい名刺を私に渡しました。
「お願いがあって来ましたとおっしゃってください」
俊夫君は私の渡した名刺を見て、
「さあ、どうぞお入りください」
と言いました。その名刺には「遠藤雪子」と書かれてありました。
やがてお嬢さんは俊夫君とテーブルに向かいあって腰かけました。
「ご承知かもしれませんが、私が遠藤信一の娘でございます」
「ああ、遠藤先生のお嬢さんですか、先生は相変わらずご研究でございますか?」
と俊夫君は言いました。
令嬢は急に悲しそうな顔になって、
「実は父が昨晩亡くなったのでございます」……
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutantei-higenonazo
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(4)~頭蓋骨の秘密
山中の骸骨
実験室の前の庭にある桐の若葉が、ようやく出そろった五月なかばのある朝。塚原俊夫君が「Pのおじさん」と呼ぶ警視庁の小田刑事は、珍しくも私服を着て、私たちの事務室兼実験室を訪ねられました。小田さんは東京に近い△△県の田舎の生まれだそうですが、その村の小田さんの親戚の家に一つの事件が発生したので、俊夫君にその解決を依頼すべく来られたのです。
今日からちょうど五日前、△△県××村の付近の山奥で、先年関東の大地震の際、山崩れのあったところを、二人の農夫が掘りかえしていると、一本の松の木の根元から、以外にも、十二三の少年の死体があらわれました。死んでからよほど日数がたっていると見えて、単衣(ひとえもの)に包まれた身体
(からだ)も、学校帽子をそばに置いた頭も、ほとんど骨ばかりで、どこの誰とも分かりませんでした。
二人の農夫はびっくりして、転ぶように走って、F町の警察署に事の次第を急報しましたので、警察署からは直ちに三人の警官が取り調べのため、現場(げんじょう)に駆けつけました……
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutant…aikotsunohimitsu
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(5)~白痴の知恵
魚釣り
塚原俊夫君が、魚釣りを好むことは、これまでまだ一度も皆さんに紹介しませんでしたが、俊夫君は、かつて動物学を修めたとき、ことに魚類の解剖と生理とに興味を持ちまして、それと同時に魚釣りも大好きになったのであります。
近頃では、むずかしい事件を依頼されると、わざわざ魚釣りに出かけて考えをまとめることもありましたが、多くの場合は、半日か一日を面白く遊んで頭脳を休めるために、魚釣りに出かけるのでした。
魚釣りの場所は、言うまでもなく東京の郊外ですが、これという決まった所へは行きませんでした。時としては二里も三里も離れたところへ行くことがありまして、いつの場合にも私がそのお供を仰せつかったことは申すまでもありません。私も小さい時分から魚釣りが好きですから、いつも喜んでお供をしました。
ある日、私たちは、久しぶりに、東京府下××村の方面へ鮒釣りに出かけました。それは柿の実がようやく色づきかけた十月なかばの、小春日和ともいうべき暖かい日でして、私たちは午後の陽光ひかり
を浴びながら、釣り竿を担いで色々の話に笑い興じ、元気のよい歩調で野道を歩いてゆきました。
すると先方から一人の巡査が佩剣はいけんを光らせ、今一人洋服を着た紳士と連れ立ってこちらへ歩いてきましたが、洋服の紳士は私たちを見るなり、にこりと笑って、
「やあ、俊夫君じゃないか?」
と言いました。見るとそれは「Pのおじさん」すなわち警視庁の小田刑事です。
「こりゃ、よい所で逢った」
と小田さんは立ちどまって言葉を続けました。
「実は、今日これから君のところを訪ねようと思ったんだ」
こう言ってそばの巡査を顧みて、何やら小声で相談し、さらに俊夫君に向かって言いました。
「実はこの村に殺人事件が起こって、有力な犯人と目星をつけていた男を逮捕してみると、それがどうやら犯人ではなさそうなので、みんなが困ってしまったんだ。君一つ、働いてくれないか?」
俊夫君は魚釣りに来たことなど、すっかり忘れてしまったと見え、言下に「よろしい」と返事をしましたので、小田さんたちは道を引っ返し、私たちを案内してやがて四人は村の駐在所へ参りました。小田さんと連れ立っていた駐在所詰めの巡査は俊夫君に向かって、次のごとき事件の顛末を語りました。……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutantei-hakuchinochie
【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(6)~紫外線
水銀石英灯
読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが、最近俊夫君はこの「赤坂の叔父さん」に実験室の一部を建て増してもらい、そこへ水銀石英灯というものを買ってもらって据えつけたのであります。
どうして、俊夫君が水銀石英灯を買ってもらったかと言いますと、先日俊夫君は、ある外国の犯罪学に関する雑誌を読んで、近頃外国では犯罪の探偵に水銀石英灯がさかんに使用されるということを知ったからであります。
そこで、研究好きな俊夫君は、赤坂の叔父さんに頼んだところ、さっそく叔父さんは快諾して実験室を建て増し、器械を買い入れて備えつけてくださったのであります。
かねて俊夫君はレントゲン線の装置がほしいのでしたけれど、あまりに大袈裟になるゆえ我慢していましたが、水銀石英灯は簡単なものですから、とうとう叔父さんにねだったわけです。
さてここで皆さんに水銀石英灯がどんなものかということをお話ししておこうと思います。水銀石英灯というのは一口にいえば、紫外線と称する一種の光線を発生する器械なのであります。そこで私はさらにさかのぼって、紫外線が何物であるかということを述べる必要があります。
皆さんは日光が通常七色の光線から成っていることをご存じであろうと思います。
すなわち赤色、橙色だいだいいろ、黄色、緑色、青色、藍色あいいろ、紫色がこれでありまして、日光光線を分光器で分析しますと、いわゆるスペクトルとなって、これらの美しい色にわかれます。しかし、日光光線には、この七色の光線の他になお眼に見えぬ二種の光線が含まれているのでありまして、通常赤外線、紫外線と呼ばれているのであります。……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/shonenkagakutantei-shigaisen
【夢野久作 傑作選】鉄槌(かなづち)
――ホントウの悪魔というものはこの世界に居るものか居ないものか――
――居るとすればその悪魔は、どのような姿をしてドンナ処に潜み隠れているものなのか――
――その悪魔はソモソモ如何なる因縁によって胎生しつつ、どのような栄養物を摂とって生長して行くものなのか――
――その害悪と冷笑とを逞ましくし行く手段は如何――
斯様かような質問に対して躊躇ちゅうちょせずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。
然るに私はまだヤット二十歳はたちになったばかしの青二才である。だから聖人でも哲学者でもない筈であるが、しかしこの問いに対しては明白に答え得る確信を持っている。
――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ。――
――だから真個ほんとの悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
――そのような悪魔の現実社会に於ける生活とか、仕事とかいうものが如何に戦慄すべきものがあるかという事なぞも、滅多に考えられた事がないのだ――
……と……。
「彼奴あいつは悪魔だ。お前と俺の生涯をドン底まで詛のろって来た奴だ。今度彼奴に会ったら、鉄鎚かなづちで脳天を喰らわしてやるんだぞ。いいか。忘れるなよ」
親父おやじは私にこう云って聞かせるたんびに、煎餅蒲団せんべいぶとんの上で起き直った。蓬々ぼうぼうと乱れた髪毛かみと髯ひげの中から、血走った両眼をギョロギョロと剥むき出して、洗濯板みたいに並んだ肋骨あばらぼねを撫でまわしてゼイゼイゼイゼイと咳せきをした。そのうちに昂奮して神経が釣り上って来ると、その悪魔が眼の前に坐っているかのように、鼻の先の薄暗い空間を睨み付けてギリギリと歯ぎしりをしながら、骨と皮ばかりの手を振り上げて鉄鎚をグワンと打ちおろす真似をして見せる事もあったが、その顔の方がよっぽど恐ろしくて、活動に出て来る悪魔ソックリに見えたので、私はいつも子供心に一種の滑稽味を感じさせられた。親父は悪魔を取り違えているのじゃないか知らんと思って……
……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/kanaduchi-yumenoqsaku
【夢野久作 傑作選】キチガイ地獄
……やッ……院長さんですか。どうもお邪魔します。
ええ。早速ですが私の精神状態も、御蔭様でヤット回復致しましたから、今日限り退院さして頂こうと思いまして、実は御相談に参りました次第ですが……どうも永々御厄介に相成りまして、何とも御礼の申上げようがありません。……ええ。それから入院料の方は、自宅へ帰りましてから早速、お届けする事に致したいと思いますが……。
……ハハア……いかにも。なるほど。事情をお聞きにならない事には、退院させる訳には行かぬと仰有おっしゃるのですね。イヤ。重々ごもっともです。それでは事情を一通りお話し致しますが……しかし他人ほかへお洩らしになっては困りますよ。何しろ私の生命いのちにかかわる重大問題ですからね……。
ナル……成る程。患者の秘密を一々ほかへ洩らしたら、医者の商売は成り立たない。特に病院というものは、世間の秘密の保管倉庫みたようなもの……イヤ。御信用申上げます。御信用申上るどころではありません。
それでは事実を打ち割って告白致しますが、何を隠しましょう、私は殺人犯の前科者です。破獄逃亡の大罪人です。婦女を誘拐ゆうかいした愚劣漢であると同時に、二重結婚までした破廉恥はれんち
極まる人非人……。
イヤ。お笑いになっては困ります。そんな風にお考え下さるのは重々感謝に堪えない次第ですが、しかし事実を枉まげる事は断然出来ませぬ。御承知の通り現在、只今の私は、北海道の炭坑王と呼ばれていた谷山家の養嗣子、秀麿ひでまろと認められている身の上ですからね。私の実家も、定めし立派な身分家柄の者であろうと、十人が十人思っておられるのは、むしろ当然の事かも知れませんが、遺憾ながら事実は丸で正反対……と申上げたいのですが、実はもっとヒドイのです。その証拠に、私が谷山家に入込みました直前の状態を告白致しましたら、誰でも開いた口が塞がらないでしょう。
私は大正×年の夏の初めに、原因不明の仮死状態に陥ったまま、北海道は石狩川の上流から、大雨に流されて来た、一個のルンペン屍体したいに過ぎなかったのです……
しかも頭髪や鬚を、ぼうぼうとはやした原始人そのままの丸裸体で、岩石のこすり傷や、川魚の突つき傷を、全身一面に浮き上らせたまま、エサウシ山下の絶勝に臨む、炭坑王谷山家の、豪華を極めた別荘の裏手に流れ着いて、そこに滞在していた小樽タイムスの記者、某の介抱を受けているうちに、ヤット息を吹き返した無名の一青年に過ぎなかったのです……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/yumenoqsaku-kichigaijigoku
【小酒井不木 傑作選】犬神
私にもしポオの文才があったならば、これから述べる話も、彼の「黒猫」の十分の一ぐらいの興味を読者に与えることが出来るかもしれない。
しかし、残念ながら、私はこれ迄、会社員をした経験があるだけで、探偵小説を読むことは好きであったが、二十五歳の今日に至るも、一度もこうした物語風のものに筆を染めたことはないのである。
けれども私は、いま真剣になって筆を執とって居る。薄暗い監房に死刑の日を待ちながら、私が女殺しの大罪を犯すに至った事情を忠実に書き残して置こうと思って、ペンを走らせて居るのである。
私はただ事実のありのままを書くだけであって、決して少しの誇張も潤色もしないつもりであるが、読者は、こんな話はあり得うべからざることだと思われるかもしれない。又、私を診察した医者に言わせれば私の精神は今なお異常を来きたして居るのかも知れない。
然しとにもかくにも、私は、私の現在の精神状態で、嘘でないと思うことを書こうと欲して、紙面に向って居るのである。
私がこれから読者に伝えようとする話は、実はポオの「黒猫」の内容に頗すこぶる似通って居る。
私の話では、黒猫の代りに犬が中心となって居て、事件の起り方に甚はなはだ似にかよった所がある。だから、読者はことによると「黒猫」を模倣した虚偽の物語だと判断されるかも知れない。
けれど、私は、そう判断されても少しもかまわない。
かまわないどころか、むしろ、「黒猫」の模倣だといわるれば、却かえって私にとって、それに越した幸福はないのである。
何となれば、私のつたない文章は、巨匠のそれに比して、あまりにも見すぼらしいものであるからである……
★文字起こし:http://urban-legend.tsuvasa.com/fuboku-inugami
【小酒井不木 傑作選】ジェンナー伝
いまからおよそ百五十年前のことです。英国南部のバスという市まちで、ある夜盛大せいだいな晩餐会が開かれました。
集まったものは、政治家、実業家、医師、軍人など数十人、いわゆるそのまちおよびその付近で、名をあげている人ばかりでありました。当時まだ電燈は発明されておりませんでしたから、いく本かの美しい装飾をほどこした銀色の燭台しょくだいが、テーブルの上に立て並べられ、こうこうたる光のもとにいとも静粛に、食事がすまされました。
食後人々はテーブルをかこんだまま、紅茶こうちゃをすすりながら、いろいろの話にふけりました。と、いつのまにか、すみの方で議論めいた口調で話すものがありましたので、一同は、言いあわせたように、口をつぐんで、その議論に耳を傾かたむけました。
「無論、私わたくしは炎ほのおの中の方が熱いと思います」とひとりの紳士しんしがいいました。
「そうじゃありませんよ。やっぱり炎を少しはなれたところの方がかえって熱いですよ」と、他の紳士が反対しました……
★文字起こし: http://urban-legend.tsuvasa.com/fuboku-jenner
【小酒井不木 傑作選】死の接吻
その年の暑さは格別であった。ある者は六十年来の暑さだといい、ある者は六百年来の暑さだと言った。でも、誰も六万年来の暑さだとは言わなかった。
中央気象台の報告によると、ある日の最高温度は華氏百二十度であった。摂氏でなくて幸福である。
「中央気象台の天気予報は決して信用出来ぬが、寒暖計の度数ぐらいは信用してもよいだろう」と、信天翁あほうどりの生殖器を研究して居る貧乏な某大学教授が皮肉を言ったという事である。
東京市民は、耳かくしの女もくるめて、だいぶ閉口したらしかった。熱射病に罹かかって死ぬものが日に三十人を越した。一日に四十人ぐらい人口が減じたとて大日本帝国はびくともせぬが、人々は頗すこぶる気味を悪がった。
何しろ、雨が少しも降らなかったので、水道が一番先に小咳こぜきをしかけた。
日本人は一時的の設備しかしない流儀であって、こういう例外な暑い時節を考慮のうちに入れないで水道が設計されたのであるから、それは当然のことであった。
そこで水が非常に貴重なものとなった。それは然しかし、某大新聞が生水宣伝をしたためばかりではなかった。氷の値が鰻上りに上った。N製氷会社の社長は、喜びのあまり脳溢血を起して即死した。
然し製氷会社社長が死んだぐらいで、暑さは減じなかった……
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【小酒井不木 傑作選】ある自殺者の手記
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【小酒井不木 傑作選】闘争
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【夢野久作 傑作選】押絵の奇蹟
看護婦さんの眠っております隙を見ましては、拙ない女文字を走らせるので御座いますから、さぞかしお読みづらい、おわかりにくい事ばかりと存じますが、取り急ぎますままに幾重にもおゆるし下さいませ。あれから後、お便り一つ致しませずに姿をかくしました失礼のほど、どんなにか思し召しておいでになりますでしょう。
どう致しましたならばお詫びが叶いましょうかと思いますと胸が一パイになりまして、悲しい情ない思いに心が弱って行くばかりで御座いました。そうしてやっとの思いで一昨晩コッソリと帰京致しますと、すぐにあれから後の新聞を二三通り取り寄せまして、次から次へと繰り返して見たので御座いますが、私の事につきましていろいろと出ております新聞記事と申しますのが又いずれ一つとして私の心を責めさいなまぬものは御座いませんでした。
あの、丸の内演芸館で催されました明治音楽会の春季大会の席上で、突然に私が喀血しまして、程近い綜合病院に入院致しますと、その夜のうちに行方不明になりました事に就きまして、新聞社や、そのほかの皆様から寄せて頂いております御同情の勿体なさ。
それから又、最後までお世話になっておりました岡沢先生御夫婦の親身も及びませぬ痛々しい御心配なぞ……そうして、そのような中に、とりわけても貴方様が、あの時から後、心ならずも貴方様から離れて行きました私の罪をお咎めになりませぬのみか、数ならぬ私の事を舞台を休んでまで御心配下さいまして、いろいろと手を尽して私の行方をお探しになっておりますうちに、思いもかけませず私と同じように喀血をなされました。
そうして同じ丸の内の綜合病院に、御入院になりまして、私の名前を呼びつづけておいで遊ばすという事を「処もおなじ……」という雑報欄の記事で拝見致しました時の心苦しさ……。そうしてそれと同時にあなた様と私とが斯様かように同じ運命の手に落ちて参りまして、おなじ病気にかかって同じように血を吐く身の上になりましたことが、けっして偶然でありませぬ事を思い知りました時の空怖ろしさ……
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【夢野久作 傑作選】瓶詰地獄
極楽鳥が舞い、ヤシやパイナップルが生い繁る、南国の離れ小島。
だが、海難事故により流れ着いた可愛らしい二人の兄妹が、この楽園で、世にも戦慄すべき地獄に出会ったとは誰が想像したであろう。それは、今となっては、彼らが海に流した三つの瓶に納められていたこの紙片からしかうかがい知ることは出来ない…
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【甲賀三郎 傑作選】蜘蛛
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